ディズニー vs. スター・ウォーズ・ファン

一般のSWファンを詰る(なじる)ような記事が出た。

「ジョージ・ルーカス監督の製作工房、スカイウォーカー・ランチに宿泊&取材経験のある頭のおかしい記者のようなダイ・ハードなファン」を自称する産経WEST記者・岡田敏一氏の2018年7月12日のweb記事、『スター・ウォーズ8、ディズニー叩きは組織的ネガキャンだった』がそれだ。

岡田氏は「SW8を…執拗に非難する連中は、…アジア人や黒人といった“非白人”と女性が大活躍する作風…がいたく気に入らなかった」と断定する。

私が読んできたSW8 The Last Jediにまつわるファンらの心情と、岡田氏の断定はあまりにもかけ離れている為、気になった。

SW8にまつわる岡田氏の記事を読んでみると、

(1)SW7 A Force Awakensは『スター・ウォーズ“違和感の覚醒”『エピ7』は創造力ゼロ…切り貼り編集の“老人”同窓会』だと切り捨て、

(2)一方、SW8は「けなす要素が皆無」「全く新しいSWの物語や世界観を作り出そうという強固な意志が感じられる」(『黒澤・ルーカスにWリスペクト「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」が最強の大傑作なワケ』)とし、過去の作品との繋がりを払拭していることを「最大の理由」だと言う。

(3)ところが、「欧米では批評家や玄人筋が大絶賛したのに、熱狂的な一般のSWファンからは大ブーイングが起き、不自然なほど賛否両論真っ二つに」(『スター・ウォーズ曇らせる“有毒”ファン シンデレラ女優インスタ閉鎖』)なり、

(4)それだけではなく、「ローズ・ティコを演じたベトナム系米国人女優ケリー・マリー・トランさん」がネット上で「度重なる中傷や人種差別を受け」、自身のInstagramが閉鎖に追いこまれたが、

(5)「この一連のネット上での人種差別的人格攻撃について“俺たちがやった”と事実上の“犯行宣言”を行った団体が現れ」、
「われわれの目的は、SWが“多様性の押しつけ”を逆転させる映画スタジオによってコントロールされるとともに、(ディズニーのように)腐敗した企業が製作していない“同性愛者ではない白人の男性ヒーロー”を(ハリウッド映画に)取り戻すことである」と宣言した、

(6)なので岡田氏は「SW8を…執拗に非難する連中は、…アジア人や黒人といった“非白人”と女性が大活躍する作風…がいたく気に入らなかった」と断定した、という論理のようです。

これはSWファンがどうとかいう問題ではなく、『マッドマックス/怒りのデス・ロード』の時にも男性の人権を唱えたり、アメリカのSF小説のコンテストでも組織票を投じて男性の権利を主張したりしている、あのムーブメントの話でしょう。

これを「(岡田氏のいう)一般のSWファン」だと決めつけられてはたまったものではありません。

また、本当に一般のSWファンは、2015年末のジョージ・ルーカスがSWのディズニーへの売却を「奴隷業者に売ってしまった」と批判した論理の延長線上にあり、岡田氏のような、SW8が過去の作品との繋がりを払拭していることを最強の大傑作「最大の理由」だと言う議論は端から一般のSWファンとは噛み合わず、むしろ対立していると言うほかない。

Pocket