Time Bandits (バンデッドQ)のこびとは天使か?

テリー・ギリアムのTime Bandits、ロードショー公開時のパンフには「Qは○○のQ」「Qは××のQ」「Qは△△のQ」などと観客を小馬鹿にしてるような幼稚な文字が躍る。日本公開時に残虐シーンや子ども向けでないシーン、即ちバカ殿風ロビンフッドのシーン・食人鬼夫婦の台所調理シーン・ラストのケヴィンの両親爆死シーンをカットした子供向け「バンデッドQ」として1983年の春休み公開されたのである。その後も正式な邦題は子ども向けバージョンのタイトル「バンデッドQ」のままである。だが実際のTime Banditsはモンティ・パイソンの真骨頂と言うべきブラックジョークやカリカチュア、文明批判と社会批判に溢れた大人の映画ファンが見るべき必修映画で、私の人生ベスト10から外れたことのない名作映画そのものである。

簡単におさらいしておこう。歴史物語が大好きなケヴィン少年はある日両親に強制されて一人自室のベッドで眠りにつく。ところが寝室になぜか中世騎士が馬に乗って現れ、ベッドを飛び越して壁の向こうへと駆け抜けていく。翌日、興味津々で自主的にベッドに入り騎士を待っていたケビンの前に現れたのは6人のこびとたち。「タイムホールはどこだ?」とケヴィンに詰め寄るこびとたちを追いかけて巨大な顔が現れる。”Return the map, stolen from me!”(地図を返せ~、おまえら盗んだな~!)と雄叫びながらどんどんこびととケヴィンに迫ってくる。一緒に逃げる彼らの前に、中世騎士が消えていった壁の向こうのタイムホールが現れた。追い詰められたケヴィンはこびとらと共にタイムホールに落ちていく。

たどり着いた先はナポレオン快進撃中のカスティリオーネの戦いのまっただ中。そこでケヴィンはこびと等が時間を渡り歩いて時代時代のお宝を頂戴している盗賊団で、タイムトラベルを可能にするタイムマップを「雇用主」である神から盗んだ為に神から追われていることを知らされる。ケヴィンは彼らと行動を共にすることになるが結局悪魔におびき寄せられ、Time of legendにたどり着いたところで罠にはまって捕らわれてしまう…

かつてStarLogというSFファン必読の雑誌があって、そのたしか1983年5月号に中子真治さんがTime Banditsの映画評を書かれていた。その映画評では「ケヴィンは天使であるこびとたちに連れられて様々な時代を旅する」というようなことが書かれていた。

違う。こびとたちは天使ではなく死に神だ。ケヴィンは死に神に冥途の世界を連れ回され、生死の境をさまようが、生きる意思が勝って辛くも生き延びることができたのだ。

(ここからネタがばれます。)

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