復活の日

 ロードショー公開時以来の鑑賞。38年前にも安っぽいと感じたが、現在観ると小松左京の時代遅れの科学観、くだらないシナリオ、首を捻るヒューマニズムと人間観に改めて辟易。小松は地震学者の地震予知がピンポイントで当たる未来を予想した訳だが、この一点でこのお話はSFとして復権することはあり得ないことが確定している。

 ところが映画としては魅せられるシーンが多く、ポスターやチラシにも使われていた、巨大な太陽をバックに草刈正雄が佇むシーンや、草刈が南極の人類コロニーにたどり着いた時、輝く水面の逆光を浴びるオリビア・ハッシー、画面が引きになり、水際のラインが右上から左下にスクリーンを横切る構図等、所々で唸らずにおられぬスーパーショットが入ってくる。

 中でもおっ、と思ったのが人が死に絶えた南米の教会シーン。壁から落ちたキリスト像に「あなたは何をしているのですか」と心で語りかけ、「何も答えないのですね。いつまでもそうしてなさい。」と吐き捨てる草刈に横から死体のドクロが語りかけるシーン。百点満点とは言いがたいが、このシーンはかなりはっきり覚えていたし、今観てもとても強いインパクトがあった。

 本物の潜水艦、南極・マチュピチュロケ等、安物映画なのに当時としては驚愕するほど金がかかっている。流石の監督深作欣二、撮影監督木村大作、勢いがあった角川映画の大作だ。38年前よりむしろ評価が少しだけ上がった。英語がとてもわかりやすくて笑える。南極政府が全員一致原理に基づいており、日本文化が趨勢な様子にも笑った。

2017.2.9 ★★★★

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