フラットライナーズ

 ずいぶん前にセルBDを買ったのに4-5年は放置してあった。他の作業のついでにかけてみたが「ながら視聴」にはまったく不向きの込み入ったドラマ仕立ての映画であった。

 なんでそんなものを買ったのかというと、1980年代終わり頃に興味を持ち始めた「臨死体験」をテーマにした映画だったからだ。映画がいつ作られたかも気にしていなかったが、「トレマーズ」の頃の若々しいケヴィン・ベーコンが出ていたので調べたら1980年アメリカ制作とのこと。長髪のケヴィン・ベーコンはまこと気持ち悪い(笑)

 さて、ストーリーは、前半は臨死体験に興味を抱く医学生が仲間を集めて臨死体験実験を行うというもの。前半の緊張感は安物のホラーを退ける圧倒的緊張感で秀逸。後半は、脚本としては良く出来てると絶賛するが、臨死体験を西洋文明的に贖罪話にすり替えており、仏教徒もどきの私としてはたいへん珍奇な印象を受けた。

 但し脚本を擁護しておくと、クライマックスのキーファー・サザーランドの贖罪シークエンスに的を絞ったたいへん緻密で練り込まれた作品で、1980年当時のシナリオとしては、シドニー・ポラックのトッツィー並の名作と言って過言ではないと思う。ただ私の趣味に合わないというだけ。

 映画としてはどうか。たいへん良い出来と言わざるを得ない。流石1980制作映画、安物のテレビドラマ映画のような「台詞で説明するシーン」はほとんど無い。ただ、映像表現の文脈としてはスピルバーグの影響が大。実際監督はその後「8m/m」などでスピルバーグとタッグを組んだ形跡ありだ。先のキーファー・サザーランドの許しの映像も「それって許されたん???」というアンビバレントな出来。正直、映像で語り切れてるとは言い難かったのは事実。

 総合評価としては「観て損は無い」レベル。今回、制作年など詳細をweb researchして知ったが、近々、ハリウッドでリメークする企画が進んでいるらしい。良いんだけどパターン的にはおかしく(=悪く)なりそうで大丈夫かと思ってしまう(笑) 2017.2.1 ★★★

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