君たちはどう生きるか

評判通り難解な映画だった。
だが『もののけ姫』や『千と千尋の神隠し』『ハウルの動く城』に比べるとピンとくる部分が少なくない。
宮﨑駿は戦後日本民主主義が創りあげてきたお花畑=左翼的世界観の瓦解を描いたのであろう。

第二次大戦中、母ヒサコが死に、その母に似た叔母=妹の夏子を眞人が追うことで、大叔父が築き上げた異世界へ招き入れられる話だ。
そして大叔父の跡継ぎをオファーされるが眞人は戦時中の日本に戻ることを選択する。
戦後日本民主主義時代の終焉を経て防衛軍備の増強に向かっている現在の日本社会を揶揄している作品であることが強く臭う。

それともスタジオジブリ自体の行方を案じている作品?

思わせぶりな謎かけも多い。
アオサギは大叔父の使者?
セキセイインコは外来種のメタファー?いや、戦後民主主義教育が量産してきた学校左翼の象徴か?

妊婦である叔母夏子が横たわっている産屋を眞人が覗いたことが「許されない禁忌破り」だというのはどういう事だろう?
セキセイインコたちが「夏子はこどもが居るので食べられない」というのも意味深な謎かけだ。
またキリコの若い頃の分身と思われるキリコの頭右側にも眞人と同じ傷があるのはなぜ?

いずれにしろ、塔が崩壊する際、「一緒に出たらあなたを産めなくなる」と母ヒミと若きキリコが別の扉から外に出、眞人と夏子が元の戦中時代に戻る扉から出て、現実へと戻ってくるお話しだ。つまりは戦後日本民主主義が大事に囲い込んできたお花畑から現実的な安保体制へ解放される話ということでまあそれほど大きな間違いはないだろう。もちろん異論は大いに認めます(笑)

もっと個人的な感想としては、フリッツ・ラング等のドイツ表現主義映画やサルトルの実存主義映画を連想した。特にサルトル脚本の『賭はなされた』(LES JEUX SONT FAITS/1947)を強く連想。こういう映画に馴染んできた方々には懐かしさも感じる作品ではないだろうか。個人的には好きなテイストの作品だ。


参考
君たちはどう生きるか(2023) 
君たちはどう生きるか (映画) Wikipedia
賭はなされた Movie Walker Press
ドイツ表現主義映画リスト reddit




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